こんにちは。名古屋市中区にある、みさとデンタルクリニックです。
出っ歯は、上の歯が大きく前に突き出した状態です。お子さまの歯並びに不安を感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、子どもが出っ歯になる原因や放置するリスク、治療法や治療開始時期などについて詳しく解説します。
h2 出っ歯とはどのような歯並び?
出っ歯とは、上の歯が大きく前に出ている状態のことで、歯科用語では上顎前突(じょうがくぜんとつ)といいます。上あご自体が前に出ていることはもちろんですが、下あごが下がっていることで上の歯が出て見えるような状態も、出っ歯に含まれます。
出っ歯は、前歯が出ているため口が閉まりにくく、口をポカンと開けたままの状態になりやすいのも特徴です。口の閉まりが悪いことにより、口の中や唇が乾燥したり、食事のときにクチャクチャと音が出たりするなどの症状がみられることもあります。
子どもが出っ歯になる原因とは?
子どもが出っ歯になる原因として、指しゃぶりなどをイメージする方が多いかもしれません。その他にも歯が前に出てしまう原因はいくつかあります。
ここでは、出っ歯の原因について詳しく解説します。
遺伝やあごの成長の異常
出っ歯の原因として、遺伝やあごの成長の異常が挙げられます。もともと、日本人は欧米人に比べて下あごが小さい人が多く、上の歯が前に出やすい傾向にあります。また、父親や母親が上顎前突の場合には、子どもにも遺伝するケースが多いです。
その他、先天的な欠損があり永久歯が生えてこない部分がある場合、すき間によって歯列が乱れて出っ歯の原因になることもあります。
口呼吸
鼻腔の奥にあるリンパ組織のアデノイドが肥大していることや、鼻が詰まっていることなどが原因で鼻呼吸では苦しく、口呼吸をしている子は出っ歯になることがあります。通常、口を閉じているときは舌が上あごについた状態になります。
しかし、口呼吸をしていると舌と上あごが常に離れた状態になるため、上あごが成長しにくくなるのです。上あごの成長が停滞すれば、歯が生えるスペースを確保できず前に出てきてしまうことがあります。
指しゃぶりやおしゃぶり
指しゃぶりが癖になっていて、出っ歯になっていることもあるかもしれません。赤ちゃんの頃からおしゃぶりを使用していたことが歯並びに影響したのではないかと心配する方も少なくないでしょう。
しかし、3歳頃までのおしゃぶりの使用や指しゃぶりが、歯並びに大きな影響を与えることはないといわれています。注意が必要なのは、3歳をこえても長時間おしゃぶりをしているようなケースです。
例えば、寝ている間やテレビを見ている間中ずっと指しゃぶりをしているような場合は、指を吸い続けることにより、前歯が少しずつ前に押し出されるでしょう。3歳をこえて指しゃぶりしている場合でも、短時間であればそこまで心配する必要はありません。
舌で前歯を押す癖がある
舌で前歯を押す癖がある場合も、出っ歯になりやすいです。口を閉じているときや唾をのみ込むときなどに、無意識に舌で前歯の裏を押していると少しずつ歯が前に出てくるのです。
このような癖は見た目には分かりにくいですが、年齢が高いお子様であれば正しい舌の位置を一緒に確認してみるとよいかもしれません。
子どもの出っ歯を放置するリスクとは?
子どもの出っ歯が気になり始めても、すぐに歯科医院を受診するべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ここからは、子どもの出っ歯を放置するリスクについて解説します。
虫歯や歯周病
人の唾液には、汚れを洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える殺菌作用があります。出っ歯で口が常に開いた状態では口の中が乾燥しやすいため、細菌が繁殖しやすくなります。
また、出っ歯によって歯並びが乱れると、歯磨きによって歯垢を取り除くことが難しくなるでしょう。虫歯や歯周病の原因になる可能性が高いです。
発音しにくい
上の歯が大きく突き出した状態では、発音した際に空気が抜けてしまうため発音しにくくなることがあります。軽度であればそこまで発音に支障は出ませんが、サ行・タ行・ラ行などの特定の発音がしにくそうな場合は、一度歯科医院へ相談してみてください。
食べ物を噛みにくい
前歯には、食べ物を噛み切る役割があります。上の歯が前に出ていると食べ物をうまく噛み切れなくなる可能性があるでしょう。その結果、食べ物をよく噛まずに大きな塊のまま飲み込む癖がつくケースもあります。
食べ物をよく噛まないで飲み込むと、のどに詰まるリスクだがあるだけでなく、消化不良を引き起こすこともあるため注意が必要です。
噛み合わせが悪化する
出っ歯が進行すると、次第に噛み合わせにも影響が生じます。そのまま放っておけば、顎関節症を引き起こすこともあります。
顎関節症では、口を開け閉めするときにあごの関節がズレてカクッと音がしたり、あごや奥歯に鈍い痛みを感じたりします。症状がひどくなると、口を開けることが難しくなることもあります。
幼児や小学生で顎関節症を発症することは多くありませんが、中学生で発症するケースはあります。噛み合わせに異常が出ている場合は、早めに治療を始めるようにしましょう。
コンプレックスを感じる
口元は人の目に触れやすい部分ですので、出っ歯をコンプレックスに感じてしまう子どもは少なくありません。口元が気になって人前で笑えなくなったり話すのが苦手になったりするケースもあります。
特に、思春期はコンプレックスによって精神的に不安定になる可能性も考えられるでしょう。
子どもの出っ歯を治療する方法とは?
子どもの矯正治療は、成長段階に応じて1期治療と2期治療の2つに分けられます。ここでは、それぞれの治療が行われる時期や方法について解説します。
1期治療
1期治療とは、乳歯から永久歯へ生え変わる時期に行われる治療のことです。年齢の目安でいうと6歳~12歳頃までの子どもが対象となります。
この時期の治療は、あごの調整がメインです。上あごを横に広げて歯が収まるスペースを確保したり、上あごの過剰な成長を抑制したりします。また、下あごの位置が下がっている場合には、下あごを前に動かすような治療も行います。
具体的な矯正方法としては、着脱が可能なマウスピース矯正やプレート矯正、固定式の急速拡大装置などが挙げられます。その他、上あごの成長を抑制するためのヘッドギア、下あごの成長を促すバイオネーター(機能的矯正装置)などを使用することもあります。
2期治療
2期治療は、すべての乳歯が永久歯へ生え変わった後に行われる治療です。すべての永久歯が生え揃う時期は人によって異なりますが、目安は13歳頃です。
この頃から行う矯正は、大人の矯正同様に乱れた歯列を整えることが目的です。具体的には、マウスピース矯正やワイヤー矯正を行います。
マウスピース矯正は、透明で着脱が可能なマウスピースを1日22時間以上装着し続ける方法です。1〜2週間に1回マウスピースを交換しながら、少しずつ歯並びを矯正していきます。
ワイヤー矯正は、歯に直接矯正装置を装着し、ワイヤーを通して強い圧力をかけて歯並びを整えていきます。自己管理の必要はありませんが、装置が目立つ、痛みが出やすいなどのデメリットがあります。
子どもの出っ歯の治療を始める適切な時期
子どもの出っ歯を治療しようと思っても、何歳頃から矯正治療を始めたらよいのか悩んでいる方も多いかもしれません。ここでは、子どもの矯正治療を行う適切な時期についてご紹介します。
基本的には6歳以上
子どもの出っ歯の治療を始める時期は歯並びの状態にもよりますが、6歳頃が目安といわれています。あごの成長をコントロールできる1期治療から始めれば、より効果を得やすいといわれています。
また、軽度の出っ歯の場合には、あごの成長とともに自然と歯並びが整っていくこともあります。早期に治療を開始すれば2期治療が不要になるケースもありますので、歯並びが気になるようであれば早めに歯科医院へ相談してください。
6歳未満で治療が必要になることも
基本的には6歳以上が矯正治療の対象となりますが、出っ歯によって何らかの支障が出ている場合は6歳未満でも治療を開始することがあります。例えば、発音がうまくできない、食べ物を噛み切れないなどの問題がある場合です。
また、出っ歯以外にも、叢生(そうせい)と呼ばれるデコボコとした歯並びや、過蓋咬合(かがいこうごう)と呼ばれる深すぎる噛み合わせがみられる場合には、早期に治療を開始することがあります。
子どもの出っ歯を治すためにかかる費用
子どもの矯正治療は保険適用外の自由診療ですので、クリニックによって費用が異なります。費用の相場は10~100万円程度と大きく幅があります。
矯正治療にかかる費用や期間は出っ歯の状態によって異なるため、まずはカウンセリングを受けて治療方法や費用、治療期間の目安を確認しましょう。
まとめ
6歳前後の子どもは、あごが成長する時期なので矯正をしなくても自然と歯並びが整っていくケースも多いです。
しかし、矯正治療が必要なケースでは、より早い段階で治療を開始したほうが効果を得やすいでしょう。
子どもの出っ歯が気になり始めると、歯科医院を受診したほうがよいのか、このまま様子をみていてもよいのか悩むかもしれません。少しでも気になることがあれば、歯科医院へ相談してみてはいかがでしょうか。
子どもの出っ歯の治療を検討されている方は、名古屋市中区にある、みさとデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。