痛くなったら利用する場合のデメリットとは?

危険な誤解で歯を失う

2023.09.25

あなたは歯科医院をどんなときに利用していますか?定期検診で利用している方、痛くなったら利用する方など人によってタイミングは異なります。

こちらのページでは、痛くなったら利用する場合のデメリットについて分かりやすくまとめました。当てはまる方はぜひご参考ください。

痛くなったら治療を受ければいいのでは?

むし歯にはステージごとに現れる症状や治療法が異なります。痛みがでるのはむし歯がある程度進んでいる証拠であるため、治療では歯を大きく削る可能性が高めです。ご自身の歯をできるだけ残すには、痛みを感じない前の治療が大切です。

むし歯のステージについて

むし歯は以下の流れで進行していきます。考えられる治療法も合わせてみていきましょう。

C0(脱灰状態)

むし歯菌によってエナメル質の表面が溶かされ始めた状態です。エナメル質に含まれるカルシウムやリンが溶け出しており、見た目は白または薄茶色で、痛みはありません。

唾液にはエナメル質から溶け出したカルシウムやリンを歯に戻す役割(再石灰化効果)があるため、基本的には歯を削ることはせずに経過観察となります。

唾液の働きを十分に活かすには清潔な環境が欠かせないことから、ブラッシング指導やフッ素塗布を行って予防を強化することが大切です。

C1 (エナメル質内に止まるう蝕)

むし歯がエナメル質の内部まで進行した状態です。表面に穴は開いてますが、むし歯はエナメル質内に留まっているため、基本的に痛みはありません。しかし、C0のように再石灰化は期待できず治療が必要です。

C1の治療は、歯を削って白い樹脂を詰めるCR充填(コンポジットレジン)が一般的で、エナメル質内でむし歯がそれほど進行していなければ麻酔なしで行います。

C2 (象牙質に進行したう蝕)

むし歯がエナメル質の奥にある象牙質まで進行した状態です。ここではじめて「しみる」「ときどき痛む」といった自覚症状が現れます。

C2の治療は、軽度であればCR充填、中度以上であれば型取りが必要な詰め物で対応します。歯の神経は残せますが基本的に麻酔が必要で、歯髄(神経が存在する組織)の近くまで削った場合は治療後にもしみる可能性があります。

C3 (神経に感染したう蝕)

むし歯が象牙質の奥にある歯髄まで進行した状態です。強い痛みをともなうことが多く、痛み止めが効かないケースも少なくありません。

C3の治療は、歯髄を取る抜髄根管治療(一般的には「神経を取る治療」と言われます)をした後に、内部を詰めて土台と被せ物を入れます。根管治療だけでも数回の通院が必要になるため、トータルで2か月以上かかる場合もあります。

C4 (末期のう蝕)

むし歯によって歯の頭の部分が溶かされて形が崩壊している状態です。根っこだけが残っているのが特徴的で、歯髄は基本的に機能していません。しかし、内部での感染が広がっており、根管治療もしくは抜歯で対応する必要があります。

治療すれば元に戻る?

むし歯治療で歯が治るというのは、風邪が治るのとは違います。樹脂や金属といった人工物で修正するのがむし歯治療であり、毎回削る必要があるため繰り返せばそのぶん歯の厚みを失い、いずれヒビや破折といったトラブルにつながります。

「治療すれば元に戻る」という考え方は歯を失う原因といっても過言ではありません。自分の歯を一生使い続けるには、治療をしないための予防が大切です。

歯が抜けそうになったら治療を受ければいいのでは?

歯が抜けそうになる原因として、歯の破折や重度の歯周病が考えられますが、どちらも元の状態に戻すことは難しく、抜歯になる可能性が高めです。抜歯をした後は、歯の機能を回復させるための入れ歯やブリッジ、インプラントといった別の治療を行わなくてはいけません。それらをせずに歯のない状態を放置すると、両隣の歯が倒れてきたり、噛み合う歯が伸びたりなどトラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。

歯の機能回復治療のデメリット

入れ歯やブリッジ、インプラントは、歯を失ったあとの大切な治療ですが、デメリットがないわけではありません。

入れ歯は、部分入れ歯の場合だと残存歯(お口のなかに残っている歯)にバネをかける必要があり、対象の歯はほかの歯よりも負担がかかります。根元が擦り減ったり、歯ぐきが下がって知覚過敏が生じるケースも少なくありません。

ブリッジは、歯を失った部位の両隣の歯を使って連結した被せ物を入れる治療法です。被せ物をするには歯をある程度削る必要があり、むし歯のない健康な歯であっても対象となります。

インプラントは、入れ歯やブリッジのように残存歯に負担をかける心配はありませんが、顎骨にボルトを埋入する外科手術が必要です。保険を使えない点も入れ歯やブリッジとの大きな違いといえるでしょう。

まとめ

「痛みを感じなければ大丈夫」「痛みを感じてから歯医者に行けばいい」という誤解は、歯を失う原因です。歯科治療はあくまで修復治療であり、繰り返せばそれだけリスクをともなうことも覚えておきましょう。

予防歯科の先進国であるスウェーデンと比較すると、治療型の日本は高齢になってからの残存歯の数が大幅に異なり、70歳ではスウェーデンが21本、日本が16.5本という結果です。咀嚼をするうえで5本の差はかなり大きく、残存歯の負担が増えることでかみ合わせの崩れや顎関節症といった別のトラブルも引き起こす可能性があるため、注意しなければいけません。

歯を失わないためにも、トラブルの予防や早期発見・早期治療ができる定期検診をぜひご利用ください。

引用:https://clinica.lion.co.jp/yobou/new.htm

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