こんにちは。名古屋市中区にある、みさとデンタルクリニックです。
大人になってから矯正治療を行うよりも、顎の骨が柔らかいこどものうちに歯並びを整えたほうが治療にかかる期間を短縮できるといわれています。
こどもの歯並びを整える方法としては、ワイヤー矯正とマウスピース矯正が挙げられるでしょう。ワイヤー矯正は、マウスピース矯正よりも幅広い症例に対応できることがメリットです。
今回は、小児のワイヤー矯正の期間や治療の流れ、費用について解説します。お子さまの歯並びについてお悩みの保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
小児のワイヤー矯正の期間
小児矯正には、1期治療と2期治療があります。それぞれ治療の目的と、治療を開始する年齢が異なります。
<1期治療と2期治療の違い>
治療 | 目的 | 期間 | 対象年齢 |
---|---|---|---|
1期治療 | 顎の骨を拡大する | 約1~3年 | 約5~12歳 |
2期治療 | 歯並びを整える | 約1年半~2年半 | 約11~18歳 |
1期治療は、顎のバランスを整えることや、永久歯が並ぶスペースを確保するために顎の骨を拡大することが目的です。2期治療は、永久歯が生え揃ったあと、ワイヤーやマウスピースなどの矯正器具を使用して、歯並びを整える治療です。
小児のワイヤー矯正は2期治療にあたり、11~18歳ごろに治療を開始することが多いでしょう。1年半~2年半ほどかけて治療するのが一般的です。
ただし、小児のワイヤー矯正にかかる期間はお口の状態によって異なります。歯並びの乱れが重度の場合や、ほかの治療法と併用する場合などは、治療期間が長くなるでしょう。
また、2期治療だけを受けるよりも、1期治療を受けてからワイヤー矯正を始めたほうが治療期間が短くなる傾向があります。1期治療で顎のバランスを整え、永久歯を並べるスペースを確保することで、ワイヤー矯正を効率的に進められるからです。
小児のワイヤー矯正の流れ
小児のワイヤー矯正の一般的な流れを確認しましょう。
カウンセリング
カウンセリングでは、お子さまの歯並びの状態を確認します。ワイヤー矯正の概要や、治療にかかるおおまかな期間、費用などについての説明があるでしょう。
簡単にお口の中の診察も行うので、お子さまの歯並びはワイヤー矯正で治療可能なのかも判断できます。ほかの治療法などの選択肢も伝えられることがあります。
カウンセリングを無料で行っている歯科医院も多いため、治療内容・費用だけでなく歯科医院の雰囲気を知るためにも、気軽にカウンセリングを利用するとよいでしょう。
精密検査
ワイヤー矯正を始めるにあたり、歯や顎の状態を把握するために精密検査を行います。精密検査では、お口の中の診察、レントゲン・CT撮影、歯型採取、写真撮影、虫歯や歯周病の確認などを行い、治療の進め方を決定するでしょう。
診断
精密検査の結果をもとに、歯科医師がワイヤー矯正の治療計画を立てます。ワイヤー矯正にかかる実際の期間や費用などを把握できるでしょう。
治療の進め方や期間・費用などに疑問点がある場合は、必ず治療を始める前に相談してください。
準備期間
ワイヤー矯正を始める前に虫歯や歯周病が見つかった場合、優先的に治療します。虫歯や歯周病の治療にかかる期間はお口の状態によって異なりますが、軽度の場合は1~2日で終わるでしょう。
しかし、神経まで到達した大きな虫歯や、全体的に歯茎の腫れがみられる歯周病などがある場合、継続した治療が必要になります。1~2か月程度かけて治療するでしょう。
ワイヤー矯正開始
ワイヤー矯正を始めることが決まれば、まずは歯に矯正器具を装着します。歯の表面にブラケットとよばれる矯正器具を装着し、ワイヤーを通して歯に矯正力をかけます。
定期的な通院・ワイヤーの調整
ワイヤーやブラケットなどの矯正器具を装着したら、1か月に一度の頻度で通院しましょう。定期的な通院で歯の動きに合わせてワイヤーを調整し、治療を進めます。
定期的に通院しなければ治療期間が長引くため、必ず歯科医師に指示された頻度で通院しましょう。定期的に通院することで、虫歯や歯周病などのトラブルにも早期に対応できます。
矯正期間終了・ワイヤーの取り外し
ワイヤー矯正によって歯並びが整ったら、ワイヤーやブラケットなどを取り外します。矯正装置を外したら、治療の結果を確認するためにレントゲン・CT撮影、歯型採取、噛み合わせの確認、写真撮影などを行うのが一般的です。
保定期間
ワイヤー矯正によって歯並びを整えた直後の歯は不安定なため、後戻り防止のために保定期間を設けます。保定期間中は、リテーナーとよばれる保定装置を装着して歯の位置を定着させます。矯正期間と同じく、定期的に通院して経過を確認してもらいましょう。
保定期間はワイヤー矯正にかかった期間と同じくらい必要とされています。小児のワイヤー矯正が約1年半~2年半だった場合、保定期間も約1年半~2年半程度かかるということです。
保定期間中の通院頻度は、ワイヤー矯正終了直後は1か月に一度の場合が多いでしょう。経過をみながら、3か月に一度、6か月に一度と、ワイヤー矯正中よりも通院回数が少なくなるのが一般的です。
リテーナーの装着時間も、歯並びが安定してくれば短くなります。6か月を過ぎると日中は装着せず、就寝時だけ装着するのが一般的です。
小児のワイヤー矯正の適応症例
こどもの歯並びをよくする方法には、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2種類があります。ワイヤー矯正は、マウスピース矯正に比べると幅広い症例に対応できることがメリットです。
小児のワイヤー矯正の適応症例を確認しましょう。
叢生(そうせい)
叢生とは、八重歯を含むガタガタした歯並びのことです。こどもの歯並びのお悩みのなかで最も多いといわれています。
叢生の主な原因は、顎が小さいこと、もしくは顎のサイズに対して歯が大きすぎることです。歯がきれいに並ぶためのスペースがないことで、歯並びが乱れるのです。
小児の叢生の場合、1期治療で永久歯を並べるスペースを確保したあとに、ワイヤー矯正に移行したほうが効率的に治療を進められます。
2期治療だけで歯並びを整える場合、軽度の叢生であればワイヤー矯正だけでも治療可能でしょう。
しかし、重度の叢生の場合、歯を並べるスペースを確保するために歯を削る処置や抜歯が必要になる可能性が高いです。
出っ歯
出っ歯とは、前歯が前方に突出している歯並びのことです。見た目が悪いだけでなく、前歯で噛み切れない、口が乾燥しやすく虫歯になりやすいなどの問題を抱えやすいといわれています。
出っ歯には、歯並びが原因で前歯が前に出ているケースと、骨格が原因で顎全体が前に出ているケースがあります。歯並びが原因で出っ歯になっている場合、ワイヤー矯正だけで改善できるでしょう。
しかし、骨格が原因で出っ歯になっている場合、ワイヤー矯正だけではなく外科的治療が必要になることがあります。顎の位置を正してから、必要に応じてワイヤー矯正などの矯正治療を行うでしょう。
すきっ歯
すきっ歯とは、隣り合う歯と歯の間にすき間があいている歯並びのことです。すきっ歯は奥歯でも起こりますが、前歯のすきっ歯は見た目が悪いだけでなく、滑舌に影響を与えることがあります。
すきっ歯の原因は、歯に対して顎が大きいことや、歯が生まれつき少ないこと、舌癖や指しゃぶりなどの生活習慣が影響していることなどが挙げられるでしょう。
特に、舌で歯を押す癖などがある場合、前歯に継続的に力がかかり、すきっ歯になりやすいです。そのため、すきっ歯の原因が舌癖や指しゃぶりなどの場合、ワイヤー矯正と併せてMFT(口腔筋機能療法)も行います。
MFTは、お口周りの筋肉を鍛えることで悪癖を改善する治療です。ワイヤー矯正が終わったあとの後戻りを防ぐ効果も期待できます。
小児のワイヤー矯正の費用
小児のワイヤー矯正にかかる費用は、500,000~1,000,000円程度です。ワイヤー矯正を含めた矯正治療は保険適応外で歯科医院によって費用が異なるため、費用に幅があります。
小児矯正は1期治療と2期治療にわかれますが、1期治療のあとにワイヤー矯正を受けた場合、ワイヤー矯正のみで治療した場合よりも費用が安くなるでしょう。
1期治療と2期治療のそれぞれの費用相場は、以下のとおりです。
・1期治療:300,000~400,000円
・2期治療:500,000~1,000,000円
1期治療の目的は、永久歯を並べる土台となる顎の骨を整えることです。成長期に治療をスタートすることで、こどもの成長に合わせて顎の骨を拡大できるでしょう。
2期治療は、永久歯が生え揃ってから歯並びを整える治療です。小児矯正の場合、1期治療で永久歯を並べるスペースを確保してから2期治療を行ったほうが、治療にかかる費用も期間も短縮できるといわれています。
そのため、1期治療のあとに2期治療を行った場合は500,000~600,000円、2期治療のみを行う場合は800,000~1,000,000円程度が費用の相場でしょう。
まとめ
小児矯正は1期治療と2期治療にわかれ、小児のワイヤー矯正は2期治療にあたります。小児のワイヤー矯正は11~18歳ごろに治療を開始し、約1年半~2年半で治療が終わるのが一般的です。
ただし、歯並びの乱れが重度の場合や、ほかの治療法と併用する場合などは、治療期間が長くなるでしょう。
また、2期治療だけで歯並びを整えるよりも、1期治療を受けてからワイヤー矯正を始めたほうが治療にかかる期間・費用を抑えられる傾向にあります。
小児のワイヤー矯正を検討されている方は、名古屋市中区にある、みさとデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。