こんにちは。名古屋市中区にある、みさとデンタルクリニックです。
歯周病と歯槽膿漏の違いについて、理解している方は少ないかもしれません。歯周病や歯槽膿漏は、進行すると歯を支える歯周組織に影響を及ぼし最終的には歯が抜け落ちてしまう可能性があります。
本記事では、歯周病と歯槽膿漏の違い、症状や治療方法、予防方法ついて詳しく解説します。
歯槽膿漏とは
歯槽膿漏は、歯を支える歯茎や顎の骨などの歯周組織が破壊される疾患です。歯槽膿漏はプラークの中に生息する細菌が原因で発症します。適切な処置や対処がおこなわれないと、最終的には歯が抜け落ちることもあるため注意が必要です。
ブラッシングなどのセルフケアと定期的な歯科検診で予防することが可能な疾患なので、日頃から口内環境を清潔に保つ意識を持つことが重要でしょう。
歯周病と歯槽膿漏の違い
歯周病は、歯を支える歯茎や顎の骨などの歯周組織に炎症が起こる疾患です。歯茎のみに炎症がみられる歯肉炎と、顎の骨を含め炎症が広範囲にみられる歯周炎に分類されます。歯周炎が最も悪化した状態を、歯槽膿漏と呼びます。
歯周病と歯槽膿漏は全く別の疾患というわけではなく、歯周病の末期段階が歯槽膿漏と呼ばれています。
歯周病(歯槽膿漏)の原因
歯周病は、さまざまな原因で発症します。複数の原因が重なり合うと進行しやすくなるため注意が必要です。
以下に、歯周病が引き起こされる主な原因を解説していきます。
プラーク
歯周病の最も大きな原因は、歯の表面や歯周ポケット内にあるプラークです。プラークは、食べカスが唾液の成分と結びついて形成される粘着性がある物質で、プラーク内には多くの細菌が生息しています。
なかでも、歯周病菌が放出する毒素は、歯茎などの歯を支える歯周組織を破壊します。また、プラークは時間とともに硬化し歯石へと変化します。歯石の表面は粗造なため、プラークが付着しやすく歯周病が更に悪化する原因になるのです。
口内環境
口内の環境も、歯周病の進行に大きな影響を与えます。口呼吸や加齢などで唾液の量が少ない方は、口の中が乾燥するため歯周病菌の繁殖を助長するリスクが高いです。
唾液には、口腔内の細菌を洗い流す自浄作用や、酸によって溶けてしまった歯の表面を補修する効果などがあります。プラークの形成を抑制する働きもあるため、唾液の分泌が少ないとプラークが蓄積しやすく歯周病のリスクが高まるのです。
また、歯並びが悪い場合や不適合な被せ物が入っている場合、清掃が行き届きにくくプラークの蓄積を促進してしまうでしょう。特に、歯と歯の間や、歯茎との境目はプラークが溜まりやすいため、適切に清掃されないと歯周病の発症リスクが高まります。
生活習慣と食生活
歯周病は、生活習慣や食生活の影響も受けます。とくに、喫煙は歯周病のリスクを大幅に増加させる要因のひとつです。
喫煙すると、タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質が歯茎の血流を阻害し、免疫反応を抑制してしまいます。そのため、細菌感染に対する抵抗力を弱まり歯周病が進行しやすい環境になります。
また、糖分の多い食事はプラークの形成を助長するため、歯周病を進行させる原因になりかねません。
ストレス
ストレスも歯周病を悪化させる原因のひとつです。長期間にわたって身体にストレスがかかると、免疫機能が低下して歯周病に対する抵抗力が弱まります。
また、ストレスがかかると歯ぎしりや食いしばりをしやすくなるとされています。歯ぎしりや食いしばりは、歯や歯茎に過度の力をかけて歯周組織を損傷させる可能性があります。
歯周病(歯槽膿漏)の症状
歯周病の症状は、進行度によって異なります。
初期
歯周病の初期段階では、痛みなどの自覚症状が現れにくいです。
・ブラッシング時の出血
・歯茎の腫れや赤み
・口臭
上記の症状がある場合、歯周病になっているかもしれません。初期の歯周病では、歯茎が炎症を起こして少し赤みを帯びて、腫れぼったくなります。歯茎が炎症しているため、歯を磨く際に出血することがあります。
健康な歯茎は出血しないため、ブラッシングの際に出血がある場合は注意が必要です。
また、歯周病の細菌が増殖することで、軽度の口臭が発生することがあります。周囲の人に指摘されて初めて気づく場合も多いでしょう。
中度
初期の段階で歯周病が改善されなかった場合、歯周病が進行しより明確な症状が現れ始めます。
・歯茎が下がる
・歯茎からの出血・排膿
・知覚過敏
・咀嚼時の違和感
中度の歯周病では、歯を支えている顎の骨が吸収され始めます。歯茎が下がり、歯の根元が露出する場合もあるでしょう。歯と歯の間に隙間ができたり根元が露出することで、知覚過敏の症状が現れることもあります。
また、歯周ポケットが形成されるため、細菌が増殖しやすい環境になります。抵抗力が下がった際など、歯茎から出血・排膿するでしょう。歯を支える顎の骨が失われるため、歯がぐらつくこともあります。
重度
歯周病が更に進行すると、重度の歯周病へと移行します。歯槽膿漏と呼ばれる段階では、以下の症状が現れます。
・激しい歯のグラつき
・出血・排膿
・強い口臭
・歯の脱落
歯を支える顎の骨などの歯周組織が大きく損なわれるため、歯のグラつきが増します。硬い物を咀嚼することが難しくなり、食生活にも大きな影響が出始めるでしょう。
歯茎が炎症しているため、出血や排膿が見られ強い口臭が発生します。歯周組織が歯を支えることができなくなると、最終的には自然に歯が抜け落ちるでしょう。
歯周病(歯槽膿漏)の治療方法
軽度であればブラッシング指導やPMTCで改善できることがありますが、進行して中度・重度になると、外科的な処置が必要になるでしょう。歯周病(歯槽膿漏)の治療法を、詳しく解説します。
ブラッシング指導
歯周病の原因は、プラークの中に生息する細菌です。プラークをしっかりと除去することが、歯周病予防に繋がります。
現状のセルフケアでは磨き残しがある部分へのハブラシの当て方や、フロス・歯間ブラシなどの補助清掃用具の使用法などを、歯科医師や歯科衛生士が指導します。指導を受ければ自宅でのセルフケアの質が向上します。
スケーリング・PMTC
歯科医院で専用の器具を使用して、歯に付着した歯石やプラーク・着色汚れを除去します。歯の表面の汚れを除去して表面を滑沢にすることで、歯周病の原因となるプラークが付着しにくい環境に整えます。
生活習慣の改善
喫煙や過度の飲酒・ストレスなどは、身体の抵抗力を低下させます。生活習慣を改善して抵抗力を高めておくことも、歯周病の進行を防ぐために重要です。
ルートプレーニング
歯の根の表面に付いているプラークや歯石は、通常のクリーニングだけでは除去できません。ルートプレーニングは、それらのプラーク・歯石を除去して滑らかにする処置です。
ルートプレーニングを行えば歯周ポケットが浅くなり、プラークが蓄積しにくくなるため細菌の繁殖を抑制できます。
薬物療法
歯茎の炎症が強く、腫れや排膿などがある場合は、抗菌剤や抗炎症剤を歯周ポケットの中に直接投与します。特定の部分にのみ炎症症状が出ているケースなどに効果的です。
咬合調整
噛み合わせが強く当たっている部分があると、負担が集中するため歯周病の進行を早める可能性があります。均等に力がかかるように、噛み合わせの調整を行うケースも多いです。
歯周外科手術
歯周ポケットが深く、ルートプレーニングでは歯石の除去ができない場合、歯周外科手術を行います。歯茎を切開して、歯の根に付着した歯石やプラークなどを除去します。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法は、歯周病によって失われた顎の骨などの歯周組織を再生させる治療法です。歯茎を切開して、人工骨や特殊な膜を用いて歯周組織を回復させていきます。
歯周組織再生療法は、使用する材料によっては自由診療になる場合があります。
抜歯
歯周病の進行が著しく、周囲の歯にも悪影響を及ぼすリスクがある場合は抜歯します。抜歯後は歯を補う必要があるため、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどの治療法で歯の機能を回復させます。
歯周病(歯槽膿漏)を予防するには
歯周病は、適切に対応すれば発症や進行を防ぐことが可能です。以下に、効果的な歯周病予防法を紹介します。
適切なセルフケアをおこなう
歯周病の原因はプラークです。歯周病を予防するためには、正しいブラッシング方法を習得して実践することが重要でしょう。磨きにくい部分や磨き癖を理解したうえで、フロスや歯間ブラシ・ワンタフトブラシなどの補助清掃用具を上手く活用しましょう。
また、抗菌作用のある歯磨き粉を使用するのも効果的です。
定期的な歯科検診
ご自身でどんなに丁寧にブラッシングしても、プラークを完全に落とすのは難しいでしょう。歯科医院の定期検診では、プラークや歯石・バイオフィルムの除去などを行います。
また、セルフケアが不十分な部分のブラッシング指導や生活習慣などのアドバイスなども行われます。歯科医院の定期メンテナンスに通っていれば、歯周病の早期発見・早期治療にも繋がるでしょう。
生活習慣を見直す
ストレスや睡眠不足・栄養バランスの偏った食事などは、身体の抵抗力を低下させるため歯周病が進行しやすくなります。また、喫煙すると歯茎の血流が悪くなるため、歯周病の進行を促進するリスクがあります。
禁煙するのが理想ですが、本数を減らすなど少しでもリスク回避することが大切です。規則正しい生活や栄養バランスのとれた食生活、適度な運動や趣味を通じてストレスをためない生活を心がけましょう。
まとめ
歯槽膿漏は、歯周病の進行段階のひとつです。歯周病は予防することはもちろん、早期発見・早期治療が非常に重要です。歯周病にならないためにも、日々のセルフケアを徹底し歯科医院での定期的な検診も怠らないようにしましょう。
歯周病治療を検討されている方は、名古屋市中区にある、みさとデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。
当院では、患者さまが何を望まれているか、何に悩まれているかを一番に考えて治療を行っています。また、機能面だけでなく、見た目も理想的な口元を目指します。
一般歯科だけでなく、矯正治療やホワイトニング、予防歯科などにも力を入れております。当院のホームページはこちら、WEB予約も受け付けておりますので、ぜひご活用ください。