202こんにちは。名古屋市中区にある、みさとデンタルクリニックです。
審美性の高い歯の治療法として、セラミックとジルコニアがあります。名前を聞いたことがある方はいるかもしれませんが、どのような違いがあるのかご存じでしょうか。
今回は、セラミックとジルコニアの違いについて詳しく解説します。セラミックとジルコニアの違いを知り、ご自身に合った治療法を選択しましょう。
セラミックとは?
セラミックとは、陶材を用いて作られた被せ物や詰め物です。審美性・耐久性に優れており、ご自身の歯と見分けがつかないほど自然に仕上がることから、歯の治療にセラミックを選ぶ方が増えています。
セラミックの特徴やメリット、デメリットを確認しましょう。
セラミックの種類
セラミックといっても、いくつかのタイプがあります。用途や求める見た目によって選択が変わります。
e-max(イーマックス)
e-max(イーマックス)は、人気の高いセラミック素材のひとつです。リチウムディシリケートガラスという特殊なガラス系セラミックで作られており、透明感と強度の両立が可能です。天然歯に近い明るさや艶を再現でき、審美性を最重視する前歯の治療に多く選ばれています。
また、従来のオールセラミックより強度は高く、見た目の美しさを保ちながら割れにくいという特徴があります。審美性・耐久性・安全性のバランスが取れた、現在の主流素材といえるでしょう。
オールセラミック
オールセラミックは、すべてが陶材のみで構成された素材です。光を透過する性質があり、最も自然な仕上がりを実現できます。天然歯と区別がつかないほどの美しさから、特に前歯など見た目を重視する部位に適しています。
ただし、強度はやや低く、強い衝撃が加わると破損する可能性があるため、奥歯よりも前歯向けの素材です。
メタルボンド
メタルボンドは、金属の上にセラミックを焼き付けた構造を持つ被せ物です。内側の金属フレームによって非常に高い強度を確保できるため、ブリッジや奥歯など力がかかる部分にも使用できます。
ただし、長年の使用で歯茎が下がると金属部分が見える場合があり、審美性より耐久性を優先したい方に適しています。
セラミックの特徴
セラミックの特徴は、以下のとおりです。
天然歯のような透明感や艶感がある
セラミックは陶材を用いて作られるため、天然歯の透明感や艶感を再現できます。ご自身の歯と区別がつかないほど、自然に仕上がるでしょう。
耐久性があり長持ちしやすい
セラミックに用いられる陶材は壊れにくく耐久性に優れているため、長持ちしやすいといわれています。銀歯やプラスチック素材の寿命は約5年ですが、セラミックの場合は7〜10年程度使用できることが多いです。
金属アレルギーの心配がない
セラミックは陶材で金属が使われていないため、金属アレルギーの心配がありません。
歯科分野においては、被せ物や詰め物から溶け出した金属イオンが歯肉や口腔粘膜を通して全身に回ることで、炎症や痒みなどの症状を引き起こすことがあります。口腔内には症状が出ず、手足の皮膚に症状が出ることも多く、補綴物によるアレルギーだと気づけず放置されることもあります。
セラミックは金属ではないので、金属アレルギーの心配なく使用を続けられるのです。
経年劣化による破損・変色が起こりにくい
セラミックは陶材を用いており、陶器と同じように水分を吸収しにくいです。そのため、黄ばみにくく白い歯を保ち続けることができます。
また、強い衝撃を加えない限りは、破損することもほとんどありません。
セラミックのメリット
セラミックのメリットは、以下のとおりです。
自然な見た目になる
セラミックで治療をする際は、シェードガイドとよばれる色見本を使用して、ご自身の歯と馴染むように色を調整します。天然歯と区別がつかないほどの自然な見た目を手に入れられるでしょう。
歯茎が変色しない
銀歯などの金属を詰め物・被せ物に使用すると、歯茎が変色することがあります。長年使用すると金属イオンが溶け出し、歯茎が黒ずむのです。
セラミックは金属を使用していないため、歯茎が変色しません。
ただし、被せ物の土台となるコアが金属の場合は、歯茎の変色を引き起こす可能性があります。
虫歯や歯周病になりにくい
セラミックは、経年劣化による破損・変形が起こりにくいです。そのため、歯との間にすき間が生まれにくいです。
また、セラミックの素材である陶材は表面が滑らかなので、歯垢がつきにくいとされています。歯垢や細菌が溜まりにくいので、虫歯や歯周病になりにくいのです。
セラミックのデメリット
セラミックのデメリットは、以下のとおりです。
保険適用外のため費用が高い
セラミックは保険適用外の治療のため、費用が高額になります。歯の場所によって異なりますが、1本あたりの費用は被せ物で80,000〜200,000円程度、詰め物の場合は40,000〜80,000円程度です。
ただし、費用は歯科医院によって異なります。
衝撃に弱い
セラミックは陶材のため、強い衝撃が加わると割れることがあります。
陶器の食器をイメージするとわかりやすいでしょう。耐久性はありますが、落とすなどして衝撃が加わると割れることがあります。
歯ぎしりの癖がある方や噛む力の強い奥歯に使用した場合、強い衝撃によって割れることがあるのです。
ジルコニアとは?
ジルコニアとは、人工ダイヤモンドといわれるほどの強度を持つ素材で、耐久性に優れています。ジルコニアの特徴やメリット、デメリットを確認しましょう。
ジルコニアの種類
ジルコニアにもいくつかの種類があり、透明度や強度、使用する部位によって選択が異なります。
フルジルコニア
フルジルコニアは、被せ物の全体がジルコニアで作られたタイプです。人工ダイヤモンドとも呼ばれるほど高い強度を持ち、奥歯やブリッジなど強い力がかかる部位に適しています。
近年では素材の改良により色調も向上しており、従来よりも自然な白さを再現できるようになっています。金属アレルギーの心配がなく、長期的な耐久性に優れた素材です。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは、内側にジルコニア、外側にセラミックを焼き付けた二重構造の素材です。内側のジルコニアが強度を支え、外側のセラミックが自然な透明感を与えます。強度と審美性の両立が可能で、前歯から奥歯まで幅広い部位に対応できます。
ただし、外層のセラミック部分が欠けることがあるため、噛み合わせの強い方には慎重な設計が必要です。
ジルコニアの特徴
ジルコニアの特徴は、以下のとおりです。
強度が高い
ジルコニアは、歯科治療に用いられるセラミック素材のなかでも高い強度と優れた耐久性を持っています。頑丈で壊れにくいため、噛む力が強い奥歯や、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方
でも使用できるでしょう。
自然な見た目を再現できる
ジルコニアの素材は白く、天然歯の色調の再現性に優れています。天然歯の色調を再現できるため、違和感なく仕上がるでしょう。
金属アレルギーの心配がない
ジルコニアは金属ではありません。長期間使用しても、金属アレルギーの心配がありません。
変色しにくい
ジルコニアは汚れが付着しにくい素材のため、変色しにくいです。治療時の歯の白さを長持ちさせられるでしょう。
ジルコニアのメリット
ジルコニアのメリットは、以下のとおりです。
耐久性がある
ジルコニアは人工ダイヤモンドとよばれるほど硬く、頑丈で壊れにくいです。そのため、耐久年数は10年前後と非常に長く使えます。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方でも、長く使用できるでしょう。セラミックが割れるような衝撃を受けても、ジルコニアは割れないことが多いです。
天然歯に近い見た目に仕上がる
ジルコニアは、天然歯に近い人工歯を製作できます。自然に仕上がるので、ご自身の歯と見分けがつかないこともあるでしょう。
歯茎が変色しない
セラミックと同様に、ジルコニアは金属ではないため、溶け出した金属イオンが原因となる歯茎の変色が起こりません。美しい歯茎の色を保てることは、大きなメリットです。
ジルコニアのデメリット
ジルコニアのデメリットは、以下のとおりです。
保険適用外のため費用が高い
ジルコニアは保険適用外となり、費用が高くなります。1本あたりの費用は100,000〜180,000円ほどでしょう。
セラミックと同様に、費用は歯科医院ごとに異なります。
素材が硬く研磨しにくい
ジルコニアは非常に硬く研磨しにくいです。そのため、歯の形に合うように調整することがセラミックよりも難しいとされています。
天然歯よりも硬いので、噛み合わせる歯を傷つける可能性やすり減らす可能性があります。
歯の透明性が低い
ジルコニアは透明性が低いため、ご自身の歯の色によっては色味がうまく調整できないことがあるでしょう。セラミックと比較すると、不自然な仕上がりになる場合があります。
セラミックとジルコニアの違いを比較
セラミックとジルコニアの違いを、表にまとめました。
<セラミックとジルコニアの違い>
| 比較項目 | セラミック | ジルコニア |
|---|---|---|
| 見た目 | ◎ 高い透明感で天然歯に近い | ○ 白く自然だがやや不透明 |
| 強度・耐久性 | ○ 十分な強度(約400MPa) | ◎ 非常に高い強度(約1,000MPa) |
| 適した部位 | 前歯など見た目重視の部位 | 奥歯やブリッジなど力がかかる部位 |
| 費用の目安 | 約8〜20万円/1本 | 約10〜18万円/1本 |
| 寿命の目安 | 約7〜10年 | 約10〜15年 |
| 金属アレルギー | なし | なし |
セラミックとジルコニアの最も大きな違いは強度と見た目の透明感です。セラミックはガラス系の素材でできており、光を透過する性質があるため、天然歯のように自然で美しい仕上がりになります。その一方で、陶材という性質上、強い衝撃が加わると割れてしまうことがあります。
一方、ジルコニアは「人工ダイヤモンド」とも呼ばれるほど硬く、非常に高い強度と耐久性を持つ素材です。奥歯やブリッジなど、噛む力が強くかかる部位に適しています。
ただし、その硬さゆえに、噛み合う歯を摩耗させるリスクがあるため、噛み合わせの管理が大切です。
見た目に関しては、セラミックの方が透明感に優れ、自然な光沢を再現しやすいのが特徴です。ジルコニアはやや不透明で、白く明るい印象には仕上がりますが、前歯のような審美領域ではやや人工的に見える場合があります。そのため、前歯にはセラミック、奥歯にはジルコニアを選ばれる方が多く見られます。
費用と寿命については大きな差はなく、どちらも10年前後が目安です。
ただし、寿命は素材そのものよりもメンテナンスの頻度や噛み合わせ管理の精度によって大きく左右されます。定期的に歯科医院でチェックやクリーニングを行えば、どちらの素材も長く使用することができます。
セラミックとジルコニアどちらを選ぶ?
セラミックとジルコニアは、それぞれに強みがあり、どちらが優れているかは目的や治療部位によって異なります。見た目を重視するのか、強度や耐久性を優先するのかを明確にして選ぶことが大切です。
前歯など「見た目を重視する部位」にはセラミック
前歯のように人目につく部分の治療には、透明感と艶に優れたセラミック(特にe-max)がおすすめです。天然歯のような自然な質感を再現でき、笑ったときも違和感がありません。
歯茎とのなじみもよく、長期的に見ても美しい口元を保ちやすい素材です。
奥歯など「強度を重視する部位」にはジルコニア
噛む力が強くかかる奥歯やブリッジなどには、割れにくく強度の高いジルコニアが適しています。ジルコニアは長期間の使用でも摩耗や変形が起こりにくく、歯ぎしり・食いしばりのある方にも安心して使用できる素材です。
バランスを取りたい方には「ジルコニアセラミック」
内側にジルコニア、外側にセラミックを使用したジルコニアセラミックは、強度と審美性の両立が可能なハイブリッドタイプです。前歯にも奥歯にも対応でき、見た目と耐久性のバランスを求める方に向いています。
素材選びのポイント
素材の違いだけでなく、歯の位置・噛み合わせ・歯ぎしりの有無・予算なども考慮することが大切です。
みさとデンタルクリニックでは、CTや口腔内スキャナーによる精密な診断をもとに、患者様一人ひとりの状態に最適な素材を提案しています。治療後の美しさと長持ちを両立させるために、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
歯科治療でよく耳にするセラミックとジルコニアについて、どのような素材なのか、違いは何なのかなどを解説しました。セラミックとジルコニアの違いを理解し、ご自身の治療の際の判断材料にしていただければ幸いです。
セラミックやジルコニアを検討されている方は、名古屋市中区にある、みさとデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。
当院では、患者さまが何を望まれているか、何に悩まれているかを一番に考えて治療を行っています。また、機能面だけでなく、見た目も理想的な口元を目指します。
一般歯科だけでなく、矯正治療やホワイトニング、予防歯科などにも力を入れております。当院のホームページはこちら、WEB予約も受け付けておりますので、ぜひご活用ください。
